稗史その2 草莽隊

 高橋敏先生の「博徒の幕末維新」(ちくま新書)は、竹居安五郎=ども安、黒駒勝蔵、水野弥三郎、勢力富五郎、石原村幸次郎など、幕末から明治にかけて抹殺されたアウトローの生きざまを描いている。

 草莽隊(そうもうたい)とは、幕末から明治維新の頃に、浪士、郷士、農民などが自費で結成したものだそうだ。
 その中には、「官軍」の先鋒を務めた赤報隊があった。
 甲州博徒のども安、その子分となり清水次郎長と出入りを繰り返した黒駒勝蔵。赤報隊の一員としてその子分を引き連れて参加し、水野弥三郎らとともに官軍の先鋒役を果たしたが、勝蔵も弥三郎も御一新の流れの中で「官軍」に捕らわれ無念の死を遂げた。

 幕末にアウトローが増えたのは江戸幕府の弱体化が表面化したものだ。侠客の増加は江戸幕府の弱体化が表面化したものであるとする考えがある。
 安五郎も勝蔵の村の名望家の家に生まれ、博徒の道を歩んだ。
 彼らは村落社会の自衛役として、また幕末から維新にかけて草莽として民衆のリーダーとして評価する考えもある。