モンドラゴン協同組合の社会委員会と情報公開

 モンドラゴンには労働組合がない。それは法律で労働者協同組合はそう定められているからだ。。
 原則として全員が参加する総会があって、給与などをみんな総会で決めるので労働組合機能が果たされている。
 しかし労働問題は当然あるので、その代わり社会委員会が存在する。
 ファゴール家電の例。
 ファゴール家電は2009年に経済危機があり、給与は8%減額になった。その前の15年間は右肩上がりだったが、2009年の経済危機で8%減額した。
 ファゴール家電は3,000人いて、この8%下げるという議論は理事会や社会委員会で一応そのような議論をして、総会で決議を取って、63%の人が賛成した。反対は20%で、残りは保留だった。
 給与を8%下げた結果、年度末で売上は2,000万ユーロ減少した。売り上げ全体が12億ユーロに対してなので、赤字幅が予想より小さく抑えることができた。給与を下げた効果が出たということだ。
 2010年はこのマネージャーの提案で、給与はを2.65%上げるという提案があった。
 総会の前に、このような議論を情報として各組合員に渡して議論をして、それで総会に臨んだ。
 一部の組合員は前年は8%減ったのだから、今年はプラス8%にしろということを主張した。
 しかし提案は2.65%だった。総会の提案として二つ、A案、B案があって、マイクを握って白熱した議論になった。
 そして、投票の結果、保留が10%、A案の2.65%にしようというのは7割、2割が8%案に賛成した。

 われわれの協同組合の価値として情報の透明性がある。
 組合員は、常に毎月、協同組合がどのように運営しているかという情報を入手できる。
 組合員はマネージメント=運営に参加し、利益にも関与する、参加することは所有しているということ。
 情報の透明性があるので問題が理解でき、自分たちに不利な結果でも受け入れることができる。

 モンドラゴンも、いろいろな問題を抱えている。問題を抱えているけれども、情報の透明性があるから、お互いに文句を言い合っても理解できるところがある。情報を公開して、議論をして、かんかんがくがくやっている。
 ワーカーズコープ型の協同組合は、そのような情報参加などがあるということで、トラブルを乗り越えることができる。
 単に雇われているだけだと、情報が従業員に全部は行かないから、透明性が欠けるためにいろいろな問題が起きてくる。
 普通の株式会社ではピラミッド型で一番上に社長がいて、上から下へ押し付ける。
 モンドラゴンの場合は逆さピラミッドで、お互いに同意しあって確信してやるという形なので、株式会社の運営とは全く逆である。