蚕繁盛

 上州名物かかあ天下を支えたのは?

 年貢の高い田から手を引き、年貢の安い畑や山林原野を開き桑を植えるまでは男の仕事。

 蚕を飼い、繭を作らせ、糸を吐かせて生糸にし、織物にするのは女の仕事。これらは現金化することができ、女の働きが収入の多寡を決めることになる。
 男の陰で補助的な役割しか果たせない稲作経営ではなく、養蚕が主となった農業経営では、女性の働きが収入の多寡を決めることとなる。
 つまりカカア天下は、女性の経済力がその支えであった。座繰りや機織りという専門的技術による労働の成果が、発展しつつあった市場経済の中でお金を得られるようになった。